竜とそばかすの姫【酷評の理由はなぜ?】素晴らしい楽曲と賛否両論のストーリーを考察

昨年興行収入66億円の大ヒットを記録したスタジオ地図作品、
細田守監督の『竜とそばかすの姫』が金曜ロードショー
で2022年9月23日に地上波初放送されることが決まりました!(2022年7月8日から延期しました)

ただ、この『竜とそばかすの姫』には
「面白い!」「感動した」との声とともに「ひどい」「つまらない」「面白くない」「イライラする」「子供に見せたくない」など
賛否両論の意見が飛び交っています。
なぜ絶賛酷評、真っ二つの意見がが存在するのでしょうか?

意見が分かれることについて、その理由と考察をまとめました。

(注:ネタバレ注意!)

(C) 2021 スタジオ地図/スタジオ地図より引用 竜とそばかすの姫
目次

竜とそばかすの姫の受賞歴

『竜とそばかすの姫』は2022年、
第45回日本アカデミー賞で最優秀音楽賞を受賞。

最優秀アニメーション作品賞にもノミネートされました。
(※ちなみに、最優秀アニメーション作品賞はシン・エヴァンゲリオン劇場版

また、米国の第94回アカデミー賞長編アニメーション映画部門にもノミネートされています。

ネットでの評価の内容

◎歌・曲

(C) 2021 スタジオ地図/スタジオ地図より引用 竜とそばかすの姫

『竜とそばかすの姫』を評価する声で圧倒的に多いのが、
「歌がよかった』というもの。

竜とそばかすの姫の導入部分で仮想空間Uで歌うベルのシーンがあります。
ここで一気に引き込まれた!という人も多いはず!

このオープニングを飾る楽曲「U」
King Gnuの常田大希率いる音楽集団『ミレニアム・パレード』の書下ろしであり、

ボーカルに主人公のすず/ベル役を演じる中村佳穂を迎えています。

常田大希も中村の声を”日本音楽界の宝“と称賛しており、
アカウント数50億を誇る仮想空間Uのディーバとなるベルの歌声は圧巻です!

劇中歌は

・ベルがUに初めて降り立ち、ささやくように歌いだす「歌よ」
・竜のために歌う「心のそばに」
・物語のクライマックスを迎える「はなればなれの君へ」

の3曲。
どの曲もとても素晴らしいのですが、特に、
アンベイルされたすずが勇気を振り絞って歌う「はなればなれの君へ」は鳥肌ものです…

(C) 2021 スタジオ地図/スタジオ地図より引用 竜とそばかすの姫

◎キャラクターデザイン

ベルのキャラクターデザインは韓国のアニメーター、キャラクターデザイナーであるジンキム氏

(C) 2021 スタジオ地図/スタジオ地図より引用 竜とそばかすの姫



ジンキムはアナと雪の女王や塔の上のラプンツェルベイマックスなどでもキャラクターデザインに関わっています。
キムと米・ロサンゼルスで出会い、意気投合した細田が制作を依頼したということです。

「竜」を手掛けたのは、秋屋蜻一さん。
細田監督によると、「野獣を描いて」と言ったのに
出来上がってきたのが竜だったからタイトルを「竜に変えた」とのこと。

それほど竜のデザイン画が素晴らしかったのでしょう。

(C) 2021 スタジオ地図/スタジオ地図より引用 竜とそばかすの姫

◎情景

主人公すずが住む世界は高知県越知町。

仁淀川の中流域、越知町鎌井田地区に架かる「浅尾沈下橋(あそおちんかばし)」が出てきます。

高知の自然に魅せられたという細田守監督は
透明度が高い仁淀川の透き通るようなターコイズブルーやエメラルドクリーン、
沈下橋から眺める山間を見事に再現しています。

引用 越知町公式ホームページ

?「美女と野獣」のパクリ?

『竜とそばかすの姫』よりインターネット仮想世界<U>の竜とベル – (C) 2021 スタジオ地図

なんの事前知識もなく、この映画を見た人はディズニー映画「美女と野獣」のパクリ

と思ってしまう人もいるかもしれません。

・主人公の名前が「ベル」
・竜の英語表記が「BEAST」
・シャンデリアのあるダンスホールでダンス
・秘密の薔薇

などなど、随所に「美女と野獣?」と思われる名前やモチーフがでてきます。

これについて細田監督は以下のようにインタビューに答えています。


「今回は映画を作るうえで一番初めの発想が“インターネットの世界で『美女と野獣』をやったらどういうことになるか”というものでした。インターネットっていうのは二重性というか現実と虚構の部分を併せ持っていて、『美女と野獣』も二重性を持った作品ですよね。18世紀に書かれた物語ですけど、現代の日本でインターネットを介して表現できたら、どんな恋物語になるのか、どんなロマンスがそこにあるのか。『美女と野獣』が大好きなので映画にできて光栄、幸せだなと思っております

そもそも細田守監督は「美女と野獣」をインターネットでやったらどうなるか?
を描きたいと答えており、
「美女と野獣」はパクりではなく、オマージュやモチーフとして取り入れられたことがわかります。

△ストーリーに疑問が残った

曲やベルの歌声、美しい風景画などが絶賛される一方、
ストーリーに関しては「ここはどうしてこうなの?」という疑問が噴出しています。

ネットの声を拾うとこんな感じ。

  • なぜすずは竜に惹かれるの?
  • なぜ竜だけ城があるの?
  • 秘密の薔薇って結局なんなの?
  • クリオネは誰?
  • なぜジャスティンにはアンベイルの力があるの?
  • なぜすずは一人だけで東京に行ったの?
  • なぜケイくんとトモくんを見つけられたの?
  • なぜケイくんとトモくんのお父さんはすずを見て怯えたの?
  • 結局すずは竜(ケイ)と忍君どっちが好きなの?

などなど…

イライラする・ひどい

話題の竜とそばかすの姫、しょうみあんま面白くなかったわ 見終えても”あれは結局誰?”とか”なんでああなった?”とか疑問符のつく事がかなり多かった印象、あと主人公が鈍臭すぎてイライラした でも絵はエグい、個人的には今年一綺麗かも

主人公の行動にイライラしてしまうという声がありました。

子供に見せたくない

竜とそばかすの姫、私は凄く良かったと思ったし何回も観にいきたいけど 小さい子供には少し見せたくない場面があるから気をつけた方がいいね~と思ったりする

ケイくんとトモくんの父親が暴力をふるう場面があるので「子供に見せたくない」という感想を抱いた人もいたようです。
また、濁流で母親がおぼれてしまうという描写もあります。
子供には確かにショッキングですよね。

ストーリー考察

では、ここからはストーリーが展開するうえで「どうしてそうなる?」という疑問について考察していきます。

なぜすずは竜に惹かれたか

Uの世界で初めて歌うことができ、人に認められることができたすずは、
誰からも嫌われ、ひどいあざを持つ竜を見てショックを受けます。
「母親に選ばれなかった」という心の傷を負っていたすずは、
竜を一目見て自分と同じように心に傷があるのだと直感的に気づいたのではないでしょうか。

そして、竜は誰なのか?なぜ誰からも存在を否定されているのか?ということが気になりはじめるのです。

なぜ竜にだけ城があるのか

竜の弟、ともくんの部屋は武蔵小杉周辺。

部屋の広さや床の素材、
お父さんの「誰のおかげでここに暮らせていると思っているんだ!」というセリフからも
とてもいい物件に住んでいることは明らかです。
小さいともくんにネット環境も与えられており、
父親は暴力は振るうものの、子供にお金をかけていることは見てとれます。

また、竜のオリジンであるケイくんは
すずの「助けたい」という言葉に過剰に反応します。

これは今まで「助ける」と言ったのにもかかわらず、
全然助けてくれなかった自治体や周りの大人たちに向けられた敵意。

物理的な面からも精神的な面からも、
高くて分厚い壁がケイの周りに築かれているということが
Uの世界の竜にもお城が築かれるという形で反映されていると考えます。

クリオネ(天使)は誰?

クリオネはケイの弟のトモくんだと考えられます。
竜の城の居場所を知っており、
ベルと竜が言い争った時も、「トラブル?」と混乱した様子を見せます。

竜が守る対象でもありそんな存在は今作の中ではトモくん以外にいないことから、
クリオネはトモくんだと言えます。

また、クリオネが最初にベルにかけた「君は、綺麗」という言葉も
最後にトモくんがすずに出会うことができた際、同じ言葉をかけています。

秘密の薔薇の意味

秘密の薔薇について、クリオネが「僕が育てた」と言っています。
オリジンのトモくんの部屋にも薔薇が飾ってあり、
トモくんが家の庭で育てたのかもしれません。

劇中では、竜とベルの心の距離が近づいたときにAIによってお互いの胸に薔薇が飾られました。

心を通わせたというモチーフとして、薔薇が使われているのでしょうか。

ジャスティンにアンベイルの力があるのはなぜ

ジャスティンは「創造主ボイシスは警察機能は必要ないといって取り合わなかった」
と発言しているためアンベイルの力を与えたのはアプリ製作者ではないようです。

ジャスティスはいわば自警団のようなもの。

アンベイルされたすずに対して「なぜつぶされないんだ!」と声をあげるジャスティン。
背後にあるたくさんのロゴがジャスティンのもとを離れていく描写があります。
これは「広告スポンサー」が離れていく様子だと推測します。

広告スポンサーはそのアプリに出資いる、いわばお金の流れのもと。
ジャスティンは一部スポンサーの後ろ盾のもと、
「U内の秩序を保つため」にAsのアカウントを停止できる権限を持っていたのでしょうか。

このあたりは映画の中では明確にされていません

なぜすずは一人で東京に行ったの?

これも、明確な理由は説明されていません
一番ここがひっかかったという人も多いです。
わたしもこれには「なぜ?」と思ったので理由を考察するのが難しいですが、

ひとりで氾濫する川に向かった母親と重ね合わせているのは一目瞭然です。
すずのお母さんは周りの大人が何もできずにいるなか、
ひとりライフジャケットを着て氾濫する川に飛び込んでいきました。

すずもまた、無謀だと思える「暴力をふるうケイたちの父親」のもとへ
ひとり飛び込んでいきます。
雨を降らせる演出も川の氾濫時と同じですね。

細田監督が美女と野獣の普遍的なテーマを今作に盛り込んだとするならば

ベルは「自分で運命を切り開いていく強い女性」であり、「真実の愛」を野獣に伝える存在です。

そのことを強調するために
一人で東京に行くすずを描いたのだと思います。

なぜトモくんとケイくんをあっさり見つけられたの?

「2棟の高層マンションが見える場所」ということで、
多摩川駅から周辺を探し回ったすず。
マンションが見える場所に行き「ここだ」とつぶやきますが、
どこからでも目立つその高層マンションは、「同じように見える場所は他にも無数にあるのでは?」と思ってしまいます。

50億人の中からたった一人を見つけられるか?がキーとなる物語なので、
いささか唐突で強引な印象を受けるこの演出。
もう少し丁寧に描かれていれば納得する人も多かったのかもしれません。

まとめ

映画を見るときに豪華絢爛で緻密なUの世界の作画を楽しんだり、
ベルの歌声や楽曲の素晴らしさを評価した人は絶賛の声を寄せる一方、

脚本や演出、ストーリー展開を重視する人には少し不満に思うところもあったかもしれません。

細田守監督は他にも」「時をかける少女」「サマーウォーズ「おおかみこどもの雨と雪」など、
多数傑作と言われる作品を生み出しています。

今作をきっかけにぜひ過去作品もチェックしてみてください!

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